新製品開発に貢献すべく、次に示すナノ・マイクロ表面加工を施す機能性材料と微細加工技術を研究しています。

新製品開発に貢献すべく、次に示すナノ・マイクロ表面加工を施す機能性材料と微細加工技術を研究しています。 新製品開発に貢献すべく、次に示すナノ・マイクロ表面加工を施す機能性材料と微細加工技術を研究しています。

抗菌性機能フィルム

抗菌・防汚・撥水・撥油フィルム・プラスチック

特定保健用食品として注目され、カニ由来キトサン等バイオマス由来のナノトゲトゲ機能材料は安全性が高く、大腸菌等の菌類を死滅させる効果を有しています。環境に配慮した新しいバイオプラスチックの素材として着目しており、独自の微細加工・生物模倣技術によりナノトゲトゲ形状を施した抗菌フィルム・防汚プラスチックを研究しています。医療材料・エコフレンドリーデバイスだけでなく、トイレタリーやエレクトロニクス製品への用途展開が期待できます。

抗菌性機能フィルム

シート、フィルム、パッチ、プラスチックなどの抗菌製品は、日本では年間1兆円を超える巨大な市場を形成しています。 製品に付与する一般的な抗菌特性は、過酸化銀や過酸化亜鉛などの金属微粒子、第4級アンモニウム塩化合物、カテキンやキトサンなどのバイオマス材料を製品に練り込むこと、または製品の表面をチタンや生理活性食用天然成分でコーティングすることなどですが、抗菌活性・持続性不足の課題があります。

新しい技術として、セミの羽や蓮の葉のバイオミメティックスによる表面微細構造を利用した抗菌活性が注目されています。情報通信ネットワークや半導体製造を支えるリソグラフィ微細加工・生物模倣技術により、蛾の眼を模した反射防止モスアイフィルムや人工的に製造された太陽電池ブラックシリコンがナノトゲトゲ構造による抗菌活性を示すことが見いだされ、表面に付着した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を不活化した例もあります。ウイズコロナ・アフターコロナ時代を見据え、衛生に対する国民の意識の高まりを受けて、竹井研究室では更なる抗菌・抗ウイルス性の特性改善をガス透過性金型と水溶性レジストを活用して取り組んでいます。

超微細マイクロニードル

医療製剤・化粧品用高浸透性自己溶解型超微細マイクロニードル

マイクロニードルは、無痛の「貼るワクチンパッチ」や「高感度IoTセンシングデバイス」につながる技術であり、皮膚や食品の表面に微小な穴を開け、そこから有効成分を投与または吸収させることができます。注射と比べて出血しない、無痛、簡便且つ安全な投与形態により自己投与が可能、固形製剤により保管・輸送に便利、注射針の廃棄物、医療費の削減や患者QOLを著しく向上させ、大きな将来性を有しています。

タイプ1:ニードル自体が有効成分

ニードル自体が有効成分 ニードル自体が有効成分

マイクロニードル自体(マトリックス・賦形成分)が皮膚本来の成分であるコラーゲンやヒアルロン酸などからなり、貼ると針が皮膚内で溶けて有効成分を直接肌に注入できます。薬剤・医薬品成分をマトリックス・賦形成分に含有させる場合は、皮膚から薬を送りこむ経皮薬物送達システム(Transdermal Drug Delivery System、TDDS)となります。注射針や既存の金属製マイクロニードルとは異なり、自己溶解型のマイクロニードルは、針が体内に残ったり、使用後にバイオハザードとなるような鋭い廃棄物が残ったりするリスクを排除することができる利点があります。竹井研究室では、ガス透過性金型の微細加工特性を応用し、既存のマイクロニードル(長さ100〜1000 µm)と比較して、長さ80 µmの超微細なヒアルロン酸素材の自己溶解型マイクロニードルの成形に取り組んでいます。超微細であることにより、痛みが少なく、薬剤・医薬品成分の血中濃度の上昇がより穏やかになる優位性があります。また、蚊の針や生物模倣(バイオミメティクス)技術で切り開く、注射不要で自己投与容易かつ無痛の先端ギザギザ自己溶解型マイクロニードルの試作にも取り組んでいます。

タイプ2:ニードルの表面にコートされた有効成分

ニードルの表面にコートされた有効成分 ニードルの表面にコートされた有効成分

ニードルのコーティングは、通常は微細なポアや溶解性の材料で構成されています。これにより、有効成分は予測可能で制御された速度で皮膚に放出されます。これは治療の効果を最適化するために重要です。また、複数の有効成分をコートすることも可能で、治療効果を同時に達成することができます。竹井研究室では、薬剤・医薬品成分をマトリックス・賦形成分に含有できない場合にも、水溶性レジストのコーティング技術や極端紫外光EUVリソグラフィの超薄膜成形技術を活用し、薬物コーティング型超微細マイクロニードル製剤の創出に取り組んでいます。

生体適合性医療器材

異物が付着しにくいカテーテル・人工血管・人工尿管、生体にストレスを与えない医療器材

吸収性縫合糸、吸収性組織補強材、人工皮膚等の生体適合性医療器材は、生体との相互作用が最小限であり、かつ安全かつ効果的な医療目的で使用されるために特別に分子設計された材料です。生体にストレスを与えない生体適合性医療器材は、患者との相互作用が最適化され、生体との適切な互換性が重要であり、次世代医療器材として期待されています。また、結石や消化液などの異物の付着によるカテーテル・人工血管・人工尿管の早期の閉塞や抜去困難が防止できる防汚性高分子材料と生物模倣による表面機能発現が注目されています。

異物が付着しにくいカテーテル・人口血管・人工尿管、生体にストレスを与えない医療器材 異物が付着しにくいカテーテル・人口血管・人工尿管、生体にストレスを与えない医療器材

生体にストレスを与えない生体適合性医療器材の開発には、バイオマテリアルや表面処理技術、生体工学などが関与し、その目的は患者への影響を最小限に抑え、治療効果を最大化することが必要になります。竹井研究室では、結石や消化液などの付着を防止できる医療器材(カテーテル・人口血管・人工尿管チューブ)の内壁・内側の超微細ナノトゲトゲ加工や曲面の超微細加工に適合できる柔らかいガス透過性多孔質フレキシブル金型・モールドを創出しています。大学シーズであるガス透過性多孔質フレキシブル金型・モールドで切り開く、防汚性高分子材料の押出チューブ成形、3 次元・曲面加工、及びロール・ツー・ロール成形に挑んでいます。

また、生物模倣と超微細表面微細加工による機能発現、防汚性という付加価値を高めた機能材料は、ライフサイエンス・ヘルスケアだけでなく、エレクトロニクス分野でも注目され、世界トップレベルの国内外研究機関や大手企業と研究協業できるほどに成長しています。医薬品分野だけでなく、化粧品、食品、及び情報通信を支える半導体材料・包装パッケージングフィルム等のエコフレンドリーな新製品開発を実施しています。

異物が付着しにくいカテーテル・人口血管・人工尿管、生体にストレスを与えない医療器材 異物が付着しにくいカテーテル・人口血管・人工尿管、生体にストレスを与えない医療器材

食品鮮度センサー

食品用鮮度・腐敗検査キット

食品の鮮度や腐敗を可視化・数値化できるセンシングデバイス・センサーは、食品の新鮮さや品質をモニタリングし、評価するための検査キットが期待されています。食品の鮮度や腐敗を数値化できるセンシングデバイス・センサーを搭載した非接触型電子機器が先行販売されていますが、特定の食品において鮮度・腐敗具合の精度に課題が指摘されています。食品の変化や腐敗の兆候を検知できる接触型食品用鮮度・腐敗検査キットは、ディスポーザブル、使い捨てという簡便さを生かして、正確なかつ短時間で鮮度・腐敗検出による食品ロス削減(SDGs12)や食品腐敗可視化・数値化による安全性向上(SDGs 2)に繋がります。食品用鮮度・腐敗検査キットは、製造メーカはもちろん、消費者や流通業者にも食品の鮮度チェックが簡便にできる優位性があります。

食品用鮮度・腐敗検査キット

バイオマーカーを食品の新鮮さや品質の変化を検知するために利用しています。食品の流通プロセスで腐敗が進行している食品に対して、菌に反応してバイオマーカーが変色する作用を用い、食品の安全性を確認することができます。竹井研究室では、食べられる素材で作られた可食原料や生体適合性高分子を超微細マイクロニードルのマトリックス・賦形成分として選定し、食品の鮮度や腐敗を可視化・数値化できるセンシングニードルの多孔質化・高ガス透過化を施した超微細マイクロニードルと対象食品の腐敗pH変化に対応するバイオマーカーとを融合させた超微細マイクロニードルの高付加価値化・差別化に取り組んでいます。センシングニードルを食品に穿刺し、色の変化により超短時間かつ高精度で食品の鮮度・腐敗感知できる検査キットを研究しています。

可食ホログラム

食品偽造・産地偽装防止ホログラム

食品偽造・産地偽装防止ホログラムは、製品の正当性や信頼性を確認し、消費者に対して本物であることを示すための特殊な特徴を備えたセキュリティ・ブランドプロテクション技術です。後絶たぬ食品の品質不正や産地偽装の拡大が世界的問題として人の健康・安全を揺るがす脅威となっています。

ホログラムは通常、複雑な三次元的なパターンを持ち、光の反射や屈折により独特な視覚効果を生み出します。印刷物とは異なった構造色・輝きと立体感・光沢感があり複雑なパターンを有するため偽造が難しくなります。食品偽造・産地偽装防止可食ホログラムは、視覚的な装飾性がありながらも、ホログラム自体が食品として安全であり、健康に影響を与えない素材で構成されています。立体的な視覚効果を生み出し、製品の真正性を直感的に示すことができます。視点や光の角度による変化は、ホログラムが正規品であるかどうかを確認する手がかりとなり、これにより消費者は簡単に製品の本物性を確かめ、製造者やブランドは商品の信頼性を向上させることができます。

食品偽造・産地偽装防止ホログラム 食品偽造・産地偽装防止ホログラム

従来の非植物由来のホログラム用テープ・シール材は無害でなく、可食できない課題があります。更に、従来のホログラム材料は有機溶媒で塗布して、アルカリ現像液や有機溶媒で現像するため食品や包装パッケージとコンタミネーションが生じる課題があります。竹井研究室では、研究オリジナリティである水溶性パターニング材料(レジスト材)と食品偽造・産地偽装防止ホログラム用積層コーティング技術を工夫して、食品の品質不正や産地偽装を防止できる可食ホログラム材料の特性改善(偽造防止)の要素抽出と同時に、製造コストを削減できる生産技術の確立による社会実装を、知財化・試作品提供・技術譲渡により進めています。地域(富山)の旗艦産業である水産物を含む食品分野の信頼回復と日本が得意とする高付加価値機能材の産業力強化に貢献していきます。

細胞培養培地

配向性型細胞培養培地、細胞凝集防止や細胞培養に好適な微細表面凹凸を持つ多機能培養培地

配向性のある細胞培養培地は、細胞が特定の方向に成長・分化するのを促進するために設計されています。これにより、組織や構造の形成をサポートし、細胞が生理的な状態で機能するようになります。また、平滑な既存培地では特定の細胞が高さ方向に凝集していまい分析時に不都合な場合もあります。細胞凝集防止や細胞培養に好適な微細表面凹凸を持つ多機能培養培地の市場ニーズが高まっています。

細胞培養培地 細胞培養培地

配向性型細胞培養培地は、細胞の運動や分裂の方向を制御し、特定のパターンや構造を形成することで、細胞の行動や組織形成の研究をより精緻に行うための役割を果たします。特に組織工学の分野では、細胞が特定の方向に整列して組織を構築する際の基板として活用され、心臓組織や神経組織のように組織内での細胞の方向性が重要な場面で有益です。また、培地の使用により細胞シートが特定の方向に伸展しやすくなり、細胞の動態や形態変化を容易に追跡・解析できるため、細胞の挙動に焦点を当てた実験が進めやすくなります。配向性型細胞培養培地は特定の方向性を持った細胞の培養に適し、組織工学や細胞の行動に関する研究に重要な寄与をしています。

また、細胞を一か所に凝集しにくくする分析用細胞凝集培地、並びに培養したい細胞に好適な穴や柱のサイズやそれらの形状(微細表面凹凸構造)を施した、表面積の増加による一部の大腸菌の増殖速度が増加する機能を有する多機能培養培地などの新たな機能を発現する細胞培養培地が注目されています。

竹井研究室では水溶性パターニング材料(レジスト材)とリソグラフィ技術を工夫して改良し、特定の細胞を培養できる栄養成分を含有させた水溶性パターニング材料の分子設計・試作物の開発に取り組んでいます。水溶性パターニング材料は、従来のレジスト材料では使用できなかった細胞培養のための栄養成分や親水性素材を用いることができ、細胞毒性もありません。水溶性パターニング材料を用いてライフサイエンス用途の微細加工を施すことで特定細胞が付着する部分・付着しない部分を選択的に創出できる多機能細胞培地の加工を試みています。

細胞培養培地

美容用シート

メディカルアートメイク・アートヘア、高浸透性クレンジングシート、トレーサビリティ用生体適合性マイクロニードルシート

メディカル(医療)アートメイク・アートヘアシートは、色素を用いた色素形成(パラメディカルピグメンテーション)を使用して顔や体に美しさや芸術的な効果を与える技術です。メディカルアートメイク・アートヘアは、色素が永久に残るタトゥーと異なり、数年で薄くなり、患者ご自身の皮膚状況や治療回復トレンドに合わせてデザインやカラーチェンジが可能です。また、凹凸に微細加工されたクレンジングシートは、肌表面の微細な凹凸に合わせて作られ、効果的にメイクや皮脂を取り除くための特殊なクレンジング製品です。

メディカルアートメイク・アートヘア、高浸透性クレンジングシート

メディカル(医療)アートメイク・アートヘアは医療機関で行う水に濡れても汗をかいても落ちない持続性のある「消えないメイク」であります。抗がん剤(化学療法)治療や放射線治療による副作用ケアや特定の皮膚疾患だけでなく、便利な美容プロシージャとなっています。日常のメイクとは異なり、より持続的で長期間(数年単位)にわたって美しさをキープできる報告があります。個々の治療状況やライフスタイルに合わせて部分的なカスタマイズできるため、色素を含有した生体適合性超微細マイクロニードルシートを皮膚に貼り付けることで色素転写が可能です。竹井研究室では、牛乳、牛肉、豚肉、鶏肉、鶏卵などの畜産物を安全に安定的に供給する目的で畜産業の各業種におけるトレーサビリティ用生体適合性超微細マイクロニードル・アートメイクシートを研究しています。

また、クレンジングシートは、凹凸に微細加工されたシートが肌にフィットし、ファンデーションやアイライン、口紅などを肌に負担をかけることなくやさしく落としてくれることが特徴です。さらに、凹凸の形状が肌表面を軽くマッサージする効果があり、血行促進やリラックス効果が得られ、肌の状態を改善することが期待されます。肌にしっかりと密着し、落としにくいアイシャドウやアイラインも細かい部分までやさしく落とすことができます。ごしごしする必要がないため、肌にもやさしく、肌荒れの心配もありません。高表面積化を達成できる凹凸に微細加工された化粧品開発を進めています。

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